2016年12月7日水曜日

新刊できました! 『鬼の眼 土門拳の仕事』

みなさま、ごきげんいかが
北大路アオアザでございます

昨日から一気に寒くなり
朝晩の北区は時雨れております
おおさむ
こんな寒いのに今日はうっかり自転車で来てもうた
編集長曰く「珍しくて雪が降る」
今年ももう終わりですが、自転車通勤は今年3回目くらいかな
電動自転車が泣いてるよね、泣かせとこ


さて、新刊ぞくぞくできてます
『鬼の眼 土門拳の仕事』
そうです、あの、土門拳
ええ、あの、巨匠です


黒赤のインパクトある表紙カバーと帯
この少女の表情がまたなんとも


416頁とボリューミー
編集はO先輩です
こちらも約1年がかり

写真を選ぶとき、たいそう大変そうでしたなあ
どれもこれも、よくって
落しがたくって
だからってページ増やしすぎでない?
スーパーだったら特売レベル


お待ちかねの中身はといいますと


戦中の沖縄の写真
沖縄好きとしては外せない
独特の髪の結い方



昭和11年
浅草の大衆食堂
活気がありますな
京極スタンド行きたくなる



同じく昭和11年 浅草
夜店をひやかす男女のうしろすがた
しっとりしたはりますなぁ
これだけで相当な親密度合いが伺える
ええな
ええなあ
デートしたい



昭和12年
街頭で千人針をしているご婦人たち
次第に戦争の色が濃くなりはじめました



昭和13年
赤十字看護婦
この清くて美しいお顔
看護服を身に着けて矢を射るという
ただごとならぬ情景
あらためて戦争のむごさを思い知る



昭和19年
予科練の若者
同期生に散髪をしてもらう
この笑顔
このあと特攻隊にいくであろうに
ほんとう、胸が痛い



ヒロシマの章
見る写真見る写真、胸が張り裂ける思い
ここには載せません
でもぜひ、見てください

編集の際、O先輩が土門拳の著書を読み漁っておりました
土門拳は写真はもとより、文章もすばらしいのです
帯の文言も、著書より抜粋
本文中にも抜粋しているものがいくつかあります

ヒロシマの文章
まだ『京都手帖』の編集でバタバタしていたころ
「忙しいとは思うけど、ちょっとここだけ読んでみて」
と手渡された本
原爆の後遺症で亡くなる子の話
読み手がその光景を目の前で見ているかのように錯覚させる筆力
泣きました
言わずもがな
嗚咽レベル
しかも二度読み
忙しいって言うのに

それくらい惹きつけられる文章でした

でもこの本の中には引用してません
泣きすぎて無理でした
ご興味のある方はO先輩までご連絡を




街角に立つ傷痍軍人
戦後にはこんな光景がよく見られたんですかね
左頁の構図が、やっぱりスゴイ



昭和27年 銀座
そしてこんなお子たちもたくさんいたんでしょうな
子を持つ者として何とも苦しい




昭和28年 新橋
いつの時代もお父さんが酔っ払う街



昭和28年 丸の内
いやこの橋、どうなってんの
そしてお姉さんがた、
ここ絶対手をつないだらあかん場所よ!
何かと風雲たけし城レベル



昭和28年 伊豆のお子たち
左のお子のキャプション「わんぱく小僧」
うん、間違いなくわんぱくだ
鼻の頭のずるむけ方ったら
豪快なんだから



昭和28年 東京
おしくらまんじゅうをするお子たち
みんないい笑顔
ほっとする



昭和27年 福島
ぷくぷく感がたまらん…
ほっぺたが落ちているじゃないか
そして、あの、オマタの間のやつ…なんすか…
そんな忠実に手編みのズボン編みますかね



昭和34年 筑豊の子どもたち
お弁当の時間ですが、お弁当を持っていない子も
このお子たちの時間のつぶし方にも胸がきゅうとなるし
持たせられなかった親の気持ちを考えてもきゅうとなる



有名人のポートレート
吉行淳之介が男前
永井荷風が色男



これまでモノクロページばかりでしたが
カラーページもありますよ
古寺巡礼より


奈良の唐招提寺
千手観音立像
ここだけを切り取るって感性
被写体とじっくり対峙したのちに撮れるものなのでしょうね



京都・神護寺
薬師如来立像の足元

そうです、先日O先輩とかわらけ投げをした神護寺です
この掲載のお願いのため伺ったのでした



鳥取の三仏寺
投入堂です
どうやって建てたのか
見れば見るほどわからない
投入れられたと言われても
そうかもしれないと思える
現在は、地震の影響で登山参拝不可とのこと



そんな投入堂の秘仏
「こらー!カツオー!」的ありがたき仏像


とにかくとにかく写真満載
これも「無理。立ち読み無理」てなることでしょうから
潔くレジへお並びあそばせ

amazonでも買えまっせ☆ → 『鬼の眼 土門拳の仕事』


2016年12月2日金曜日

新刊できました!『京都の洋館』

みなさま、ごきげんよう
北大路アオアザでございます


もろもろひと段落つきまして
わたくしがほぼ1年がかりで編集しておりました本も
そろそろ書店に並びはじめたころ

難産の1冊だったので
できあがったときには「ふあぁぁ」と声にならぬもんがでました
ちょっと涙ぐみました
いとおし

校了になったとき、デザイナーのトゥーディーに
「おつかれさまでした!」と言ったら
「納品までがお仕事です」と
帰るまでが遠足よろしく言われました

そして無事納品、からの書店へ出荷
売れてくれればそれでよし
それまでの苦労などいとわないのであります
どうぞみなさま買ってください

それがこちら



『京都の洋館』です
その名の通り、京都の洋館を収録した写真集

近代建築の宝庫である京都
明治、大正、昭和初期の建物が多く残っています
それもこれも戦争で焼けていないからでしょうね

帯もパンチがありましょう
でも、この帯でいちばん気にっているのは



ここ
背のところ
建物の形にくりぬいた(ように見せている)帯
さすがトゥーディー☆(←デザイナー)



表4の帯もイカス
白抜きの建物がかわい
さすがトゥーディー☆(←言いたいだけ)


こちら、写真集ですがただの写真集じゃあございません
京都市文化財保護課の文化財保護技師の石川さんが解説を書いています
そう、専門家
チョー専門家です

京都府庁や市役所などの公共施設
京都市美術館、弥栄会館などの文化施設
京都大学や同志社などの学舎
厳かな雰囲気の教会やお寺
三条通などに今も残る商業施設
豪奢な個人邸宅

この6章で構成しています

さーてまずは公共施設から



京都府庁旧本館
こんな感じで各スポット、説明もしっかり入ってます
専門的だけど、素人(わたくし)でもわかる内容になってます
編集していて覚えたなぁ
ペディメントとか、疑洋風建築とか、シザートラスとか




こちら、京都市美術館
扉の装飾が凝ってますなぁ
ずっと見てられる

そしてこの階段
なんて美しい曲線
階段ひとつひとつの高さやカーブなど
すべて計算しつくされているんでしょうなぁ



そして、学校
京大です、京都大学
京大の中にもいくつか建物を掲載していますが
どれもとっても素敵です



こちらは京都大学のあの時計台のなか
の、照明です
さまざまです



人文科学研究所東アジア人文情報学センター
ステンドグラスもそうですが
この右下の書庫!!




同志社のアーモスト館
ここはわたしも撮影に同行しました
んまあステキ
ためいきしか出ない
そしてこれを撮影したとき、寒かったような気が…
前の冬です

そうそう、表紙カバーもアーモスト館です




平安女学院
こちらも撮影に同行
落ち着いた木の色に、このグリーンをあわせるって天才




ご存知
京都芸術センター(元明倫小学校)
このスロープが大好き
そしてスロープ下の手洗い場も大好き


つぎに教会



こちらは京都復活教会
北大路堀川にあります
近所なんですが、中がこんなだって初めて知った
すてき



そして商業施設から



きました菊水
表4(カバー裏表紙)にも使っている菊水
今回、写真集をつくるにあたり
超超超超膨大な写真の中から
いっとう心に残ったのがこの菊水の写真
照明がなんて美しいの
うっとり
そしてパーリナイ




こちら家邊徳時計店
三条通の、あそこです
いまはファッションブランドのテナントになってまして
わたくし、ガチでここの服をよく着てるんで
撮影に同行しているというのに、横目で服をちらちらとか見てませんからね
見てませんからね見てませんったら


そして、住宅から


こちら、大丸ヴィラでございます
ほれ、下唇かんで
ヴィ

名前だけ聞いてもお分かりにならない方
場所を聞けばピンとくるかも
烏丸丸太町北西です
…あー!あのお屋敷!
そうです、あのでっかい洋館が大丸ヴィラです

大丸ヴィラは拝見することができません
中を見ることができない洋館の内部も
この写真集でお楽しみいただけます



はい、きました長楽館
たばこ王・村井吉兵衛の別邸です
いまは、ホテル・レストラン・カフェになっております
ホテルには全室暖炉があるんだとか
泊まってみたい

こちらも撮影に同行しましたが
絶えず「ほええ」「ふおお」と天井を見上げておりました
こんな塩梅で、凝った装飾がしてあるんです
贅を尽くした、とはまさにこのこと


こちらも長楽館なのですが
ふだんは公開されていないお茶室です
半月窓と、ふたつの丸窓のステンドグラスがもう…

長楽館は、どこもステンドグラスが美しかったです
旧喫煙室なんてもう…説明を聞いてトリハダがたちました

ぜひカフェーに行ってみてください
旧喫煙室でお茶できます



こちらは櫻谷文庫
おうこくぶんこ、と読みます
日本画家・木島櫻谷が居住していた建物
広大な敷地内には他に、和館やアトリエなどが残っています
この洋館の見所は何といってもこの階段
きゅーーーーっと急な曲線を描いています
こんな曲線みたことない

右のページには
「もう見ることができないまぼろしの洋館」というコラムを掲載
惜しくも取り壊されてしまった洋館の在りし日の姿
こういった洋館がけっこうあるようです
耐震問題や維持の問題などいろいろありましょうが
本当にさみしいことですなぁ


巻末には、用語解説や地図も掲載しております

京都の洋館に特化したものでこんなにボリューム満点の本がいままであっただろうか


ここだけではとってもお伝えしきれないので
書店で見つけたら中身をパラ見してみてください
「ああこれ立ち読みではとても無理」
ってきっと思うはず
ということはそのまま持ってレジへ行くはず
行くの

amazonでももちろん買えますよ☆ → 『京都の洋館』