2017年2月28日火曜日

ご朱印

みなさまごきげんよう
北大路アオアザでございます

先日のこと
とあるお寺を参拝しました
境内はお願い事をする参拝者であふれる
それはそれは有名なお寺なのです
わたくしも人生の折り目折り目で参拝をしてまいりました

最近のわたくしの趣味といえばそう
ご朱印をあつめることでございます
ご朱印ガールなのでございます
ガール
ガールだよなに文句あんの

そこでその大好きなお寺のご朱印をいただこうと
久々に詣でたのでございます

まずは地蔵菩薩さまにご挨拶を
ああ、いつ来てもここは心が落ち着く

「ご朱印ですか」
「はい」
「お百度はまいられましたか」

お百度
こちら、参拝者が地蔵菩薩さまのまわりを何周もしたはるのです
よく目にする光景なのですが

「いえ」

わたくしめが安易に手を出してはいけないような気がして
これまでまわっておりませんでした

「お百度まいられましたら、ご朱印させていただきますね」

スタンプラリーのようにご朱印をいただくのではなく
きちんとこころを込めて参拝してからでないとそりゃ失礼です

数え年の分、まわってくださいとのこと
ああ、なるほどそうだったのかと
ありがたくまいらせていただきます
いつもスニーカーなのに今日に限ってヒール履いてきちゃってるけど

願い事をしながらゆっくりとまわること10周
するとさきほど対応してくださった女性が寺務所から出てこられ

「あの、逆です」

「え」

「逆です」

アイアム10周逆まわり
「え」
ふたたび、「え」しか言えないわたくしに
「いままわった分、差し引いてかまいませんのでこれからは逆に…」
「はい」
「それと」
ま、まだなにか
「はじめにこの木の札を数え年の分だけ手に持って
 まわりながらここへ返していくのです。
 そうすれば、お願い事に集中できるでしょう?」

ああ、なるほどそうだったのかと
わたくし、数えることばかりに集中して
お願い事がおろそかになっていたのは事実
そこからは順調に願い事をし、まいりました

さあみなさま本題はここから
わたくしが本日お伝えすべきことはここからでございます

お百度まいりの後、
ご住職がご朱印を書いてくださいます
書いてはる間、じっと見つめるわたくしに
ご住職がいろいろとお話をしてくださって
「今日はどちらから来られたのですか」
実はわたくし、この質問がいちばん苦手
「…あ、京都市内です…」
というとがっかりされるんじゃなかろうか
遠くからのほうが喜ばれるのじゃなかろうか
でもね嘘ついても仕方ないから言いますよ、京都市内ですって
「そうですか。いろいろと京都には社寺がありますから。
 まわられると楽しいですよね」
「そうですね」
「学生さんですか?」

はいきました
みなさん、聞きました?
聞き逃した方にもう一度

「学生さんですか?」

これ、本物じゃないですか
こないだはショップ店員さんの見え透いたおべっかだと
こちらもわかりながらの受け答えでしたが今日は違う
これ、ガチのやつでしょ

ほころぶ笑顔をかくしつつ
「…いえ、だいぶ、社会人です」
「え?そうなんですか?へえー!」
驚いた様子のご住職
ああお百度まいりしたからかな
さっそくいいことあったよね

その後の会話でわたくしが子持ちであるとわかるや否や
またもたいそう驚いてくださるご住職
「ええええ!すごいな、あなたは!!」

ほら、聞いた?
すごいんですってわたくしおほほほほ
ちょっとざわざわしないで静かに聞いて


いただいたご朱印がまた素晴らしかった
とても美しい字
眺めるとこころが安らぎます
けっして
けっして学生にみられたからではございませんから

寺務所をあとにし、帰ろうとしたとき
境内のベンチに座っていたおばあちゃんに呼び止められました
「おねえちゃん、帰るの?
 帰ったらあかん。もうすぐおしるこの接待やで」
「そうなんですか。そりゃうれしいですね。で、何時から?」
「13時ごろやけど、それより早く配らはるやろ」
現在12時20分
40分寒空の下で待つのか、どうしよう
迷っているわたくしを見透かすかのようにおばあちゃん
「帰ったらあかん。あんたお百度まいってたやんか。
 ここで一緒に座って待とう」
「ハイ」
おばあちゃんたちに挟まれて座るわたくし
おばあちゃんたちの世間話に耳を傾けるわたくし
今日に限って少し薄着で出てきてしまったわたくし
寒い
風が冷たい
でもだいじょうぶ
だってわたし
学生だもん

40分待って、そのあとご住職のありがたい説法があって
おばあちゃんたちが並ぶ長い列のうしろに並んで
おしるこをいただいたのはいったい何時だったのかな
帰りに寄ろうと思っていた定食屋のランチは終わってたな
でもいいの
だってわたし
学生だもん

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